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なぜこの小説を書こうと思ったのかは、ここでは語らないことにする。 じつは自分でもよくわからないからだ。 強いて言えば、胸のうちにあるもやもやを文字にしていくと、 こんな作品ができあがった、ということになる。 懸命にエンターテイメントにしようと努力したが、重く暗い話になった。 だがこれ以上に軽さや明るさを求めるとメルヘンになってしまう。 この作品の映画化は困難であっただろうと素人ながら想像する。 光も華もないストーリーなのだ。 だが完成品を見て唸った。 さすがはプロたちだ。物語の本質を理解し、光の代わりに闇を、 華の代わりに毒を描くことに徹した作品に仕上げている。 多くの人に見てもらい、何かを感じてもらえたらと思う。 東野圭吾